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2026.07.20 仕上げ技術

ベルト研磨とは?
番手・工程・バフ研磨との違いを神奈川県川崎市の職人が解説

執筆:マーケティング担当 松本(株式会社松本研磨工業)

「ベルト研磨」という言葉は知っていても、バフ研磨とどう違うのか、どんな仕上がりになるのか、よくわからないという方は多いのではないでしょうか。本記事では、川崎で創業58年の金属研磨工場として現場で培ってきた知識をもとに、ベルト研磨の基本から番手の選び方・バフ研磨との使い分けまでを解説します。

ベルト研磨とは

ベルト研磨とは、砥粒(研磨材)を塗布した帯状の研磨ベルトをローラーに張って高速で走らせ、金属表面に押し当てて削り整える加工法です。「サンダー研磨」「ベルトサンダー」とも呼ばれます。

バフ研磨が「磨き上げる」加工であるのに対し、ベルト研磨は「削って整える」加工に近い性質を持ちます。溶接跡の除去・スケール(酸化皮膜)の除去・板金の平滑化・ヘアライン仕上げの下地づくりなど、幅広い用途に活用されています。

ベルト研磨は研磨方向が一定のため、表面に「目(筋目)」が生まれます。この特性を活かしたのが「ヘアライン仕上げ」です。均一な方向性のある筋目が、ステンレス製品の外装に多く使われています。

研磨ベルトの番手と使い分け

研磨ベルトは「番手(#)」で砥粒の粗さを表します。数字が小さいほど粒が粗く、大きいほど細かくなります。

番手粗さの目安主な用途
#40〜#80荒削り錆・溶接スパッタ・厚い酸化皮膜の除去
#120〜#180中削り溶接跡の平滑化・粗磨き後の傷ならし
#240〜#320仕上げヘアライン仕上げ・塗装・メッキの下地処理
#400以上精密仕上げバフ研磨前の下地・鏡面仕上げの前工程
番手は「素材の現状」と「最終的な仕上がり」から逆算して選びます。いきなり細かい番手から始めると、粗い傷が残ったまま仕上がってしまうため、必ず粗い番手から順番に上げていくのが基本です。

ベルト研磨の工程

  • 1. 素材の状態確認:錆・溶接跡・既存の傷の深さを確認し、最初の番手を決める。
  • 2. 荒削り:粗い番手(#40〜#120)で大きな凹凸・溶接ビード・スケールを除去する。
  • 3. 番手を上げながら中磨き:#180→#240と順番に番手を上げ、前工程の傷を消していく。
  • 4. 仕上げ:目的の番手で仕上げ。ヘアラインなら#320〜#400が一般的。
  • 5. 清掃・確認:研磨粉を除去し、傷・むらがないかを確認する。

Ra値との関係

ベルト研磨で達成できる表面粗さの目安は以下のとおりです。バフ研磨(Ra0.1〜)ほどの鏡面は難しいですが、下地処理や実用的な仕上げとして十分な精度を出せます。

番手の目安Ra値の目安仕上がりの特徴
#80〜#120Ra 3.2〜6.3粗い筋目。塗装・溶射の下地向け。
#180〜#240Ra 1.6〜3.2中程度の筋目。ヘアライン仕上げの下地。
#320〜#400Ra 0.4〜1.6細かい筋目。ヘアライン仕上げ・バフ前工程。

バフ研磨との違いと使い分け

ベルト研磨とバフ研磨はよく比較されますが、目的と仕上がりが異なります。

ベルト研磨バフ研磨
加工の性質削って整える磨いて光沢を出す
仕上がり方向性のある筋目(マット〜ヘアライン)光沢・鏡面
達成できるRaRa 0.4〜6.3Ra 0.1〜3.2
得意な形状平面・緩やかな曲面平面・複雑な曲面・小物
主な用途溶接跡除去・ヘアライン・下地処理鏡面仕上げ・光沢仕上げ・装飾

実際の現場では、ベルト研磨で下地を整えてからバフ研磨で鏡面に仕上げる、という組み合わせがよく使われます。

ベルト研磨が適した素材と用途

  • ステンレス:溶接跡の除去やヘアライン仕上げで最も多く使われる。
  • アルミ:柔らかいため番手選定に注意が必要。下地処理・塗装前処理に活用。
  • 鉄・鋼:錆取り・スケール除去・溶接後の整形に向く。塗装前の下地として多い。
  • 真鍮・銅:変色除去や装飾目的の仕上げ前工程に使用することがある。

ベルト研磨のメリット・デメリット

メリット

  • 広い面積を効率よく研磨できる
  • 溶接跡・錆・スケールを短時間で除去できる
  • 均一なヘアライン仕上げが得意
  • バフ研磨の前工程として仕上がりを安定させられる

デメリット・注意点

  • 複雑な形状・深い溝・内面には対応しにくい
  • 研磨方向が一定のため、多方向の傷には不向き
  • 鏡面(Ra0.2以下)はバフ研磨と組み合わせないと難しい

松本研磨工業のベルト研磨について

「試作品でヘアラインの仕上がりを事前に確認したい」「1個から溶接跡の研磨を依頼したい」という場合は、神奈川県川崎市で1967年創業の松本研磨工業にご相談ください。図面がなくても、現物・写真をもとに最適な工法と番手をご提案します。

よくある質問

Q. ベルト研磨とバフ研磨、どちらを選べばいいですか?

傷取りや下地処理、方向性のある筋目仕上げにはベルト研磨、鏡面のような高い光沢を出したい場合はバフ研磨が向いています。ベルト研磨で下地を整えてからバフ研磨で仕上げる組み合わせもよく使われます。

Q. ベルト研磨の番手はどう選べばいいですか?

求める仕上がりのRa値と、除去したい傷の深さから逆算して選びます。粗い番手から徐々に細かい番手へ工程を重ねるのが基本で、いきなり細かい番手を使うと傷が取り切れません。