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2026.07.22 加工基礎知識

金属加工とは?
種類・方法・素材の選び方を神奈川県川崎市の職人が解説

執筆:マーケティング担当 松本(株式会社松本研磨工業)

「金属加工」という言葉は広く使われていますが、切削・プレス・溶接・研磨など、その中身は多岐にわたります。本記事では、神奈川県川崎市で創業58年の金属研磨工場として蓄積してきた現場知識をもとに、金属加工の定義から5つの分類・素材別の選び方までをわかりやすく解説します。

金属加工とは

金属加工とは、鉄・ステンレス・アルミ・真鍮などの金属素材に対して、切削・成形・熱処理・表面処理などの工程を加え、目的とする形状・寸法・特性を持つ部品や製品に仕上げる工程の総称です。

私たちの身の回りにある自動車部品・建築資材・医療機器・厨房機器・産業機械など、金属を使った製品のほぼすべてに何らかの金属加工が施されています。素材のままでは目的の形状や表面品質を持たないため、加工によって初めて製品としての価値が生まれます。

金属加工は大きく「形状をつくる加工」と「特性・表面を整える加工」の2軸で捉えることができます。最終製品の要件に応じて、複数の加工を組み合わせるのが一般的です。

金属加工の5つの分類

金属加工はその原理によって、主に5つに分類されます。それぞれの特徴と代表的な加工方法を見ていきましょう。

① 除去加工(切削・研削・研磨)

素材から不要な部分を削り取ることで形状・表面を整える加工です。「引き算の加工」とも言えます。

  • 切削加工:旋盤・フライス盤・マシニングセンタなどで刃物を当て、形状を削り出す。寸法精度が高い。
  • 研削加工:砥石を高速回転させ、微細な砥粒で表面を均一に削る。切削より精密な仕上げが可能。
  • 研磨加工ベルト研磨バフ研磨フレキ研磨など。表面粗さ(Ra値)を整え、光沢や滑らかさを出す最終仕上げ工程。
研磨加工は除去加工の中でも「表面の品位を高める」ことに特化しています。製品の外観・耐食性・清潔性に直結するため、製造工程の最後に行われることが多い工程です。

② 塑性加工(成形加工)

素材を溶かさずに力を加えて変形させ、目的の形状に整える加工です。切削のように素材を削り取らないため、歩留まりが高く量産に向きます。

  • プレス加工:金型でパンチングし、板材を打ち抜き・曲げ・絞る。量産性が高い。
  • 鍛造:素材をハンマーやプレスで叩いて成形。組織が緻密になり強度が上がる。
  • 曲げ加工:プレスブレーキなどで板材を任意の角度に曲げる。
  • 引き抜き加工:素材をダイスに通して細く伸ばし、パイプや棒材をつくる。

③ 付加加工(溶接・鋳造・積層造形)

素材を融合・付着・積み上げることで形状をつくる「足し算の加工」です。

  • 溶接:金属同士を溶融接合する。TIG溶接・MIG溶接・スポット溶接などがある。接合後は溶接跡の研磨処理が必要なケースも多い。
  • 鋳造:溶かした金属を型に流し込んで成形。複雑な形状を一体で作れる。
  • 金属3Dプリント(積層造形):金属粉末を焼結・積層してニアネットシェイプに造形。試作・小ロットに向く。

④ 熱処理

金属を加熱・冷却することで内部組織を変化させ、硬さ・靭性・耐摩耗性などの機械的特性を調整する加工です。形状は変えず、特性を変えることが目的です。

  • 焼き入れ:高温加熱後に急冷し、硬度を高める。
  • 焼きなまし(アニール):加熱後にゆっくり冷やし、加工による内部応力を除去して軟化させる。
  • 焼き戻し:焼き入れ後に低温で再加熱し、靭性を回復させる。

⑤ 表面処理

素材の表面だけに加工を施し、耐食性・耐摩耗性・美観・密着性を高める工程です。形状加工や熱処理の後に行われることが多く、製品の最終品位を決定づけます。

  • 研磨(バフ・ヘアライン・ベルト):表面の凹凸を均し、光沢・滑らかさを出す。
  • メッキ:電気や化学反応で金属皮膜を形成。耐食・装飾目的。
  • 塗装・粉体塗装:塗料を塗布して保護・着色する。
  • 陽極酸化(アルマイト):アルミを電解処理し、酸化皮膜を生成して耐食性を高める。

加工方法と素材の選び方

どの加工方法を選ぶかは、素材の特性と目的によって決まります。以下は代表的な素材と加工法の相性の目安です。

素材特徴向いている加工注意点
ステンレス耐食性・強度が高い。加工硬化しやすい切削・研磨・溶接・ヘアライン切削速度に注意。研磨は専用砥粒を使用
アルミ軽量・熱伝導性が高い。柔らかい切削・プレス・アルマイト・研磨研磨時に目詰まりしやすい。番手選定が重要
鉄・鋼強度が高く加工しやすい。錆びやすい切削・鍛造・プレス・溶接・焼き入れ表面処理(塗装・メッキ)で防錆が必要
真鍮切削性が良く装飾性が高い切削・バフ研磨・メッキ鉛フリー材は切削性が下がる場合がある
チタン軽量・高強度・生体適合性切削・研磨熱伝導率が低く工具摩耗が激しい
同じ素材でも、最終的な表面粗さ(Ra値)の要求によって研磨工程の工法・番手が変わります。「どの工法が適切かわからない」場合は、現物や図面をもとにご相談ください。

表面処理としての研磨加工の重要性

金属加工の最終工程として、研磨は製品の価値を大きく左右します。切削や溶接で形状が完成しても、表面に傷・バリ・スケールが残っていれば、耐食性・清潔性・外観品質のいずれかが損なわれます。

研磨加工には目的に応じて複数の工法があり、正しく使い分けることが重要です。

工法仕上がり主な用途
バフ研磨鏡面〜光沢(Ra 0.1〜)装飾部品・医療機器・食品設備
ヘアライン仕上げ均一な筋目(Ra 0.4〜1.6)ステンレス外装・建材・厨房機器
ベルト研磨マット〜ヘアライン(Ra 0.4〜6.3)溶接跡除去・下地処理・ヘアライン
フレキ研磨曲面対応(Ra 0.4〜3.2)パイプ・曲面・複雑形状

松本研磨工業では、これらの研磨工法を組み合わせ、素材・用途・Ra値の要件に応じた最適な仕上げをご提案しています。

まとめ

金属加工とは、除去加工・塑性加工・付加加工・熱処理・表面処理の5つに大別される加工の総称です。最終製品の用途・素材・求められる精度によって、どの工法を選ぶかが変わります。

特に表面処理(研磨)は、形状加工の後に行われる最終工程として、製品の外観・耐食性・清潔性を左右する重要な役割を担っています。

「試作部品の表面仕上げ仕様を量産前に確認したい」「1個から研磨を依頼できる業者を探している」という場合は、神奈川県川崎市で1967年創業の松本研磨工業にご相談ください。図面がなくても、現物・写真をもとに素材・用途に合った最適な工法をご提案します。

よくある質問

Q. 金属加工の5つの分類のうち、研磨はどれに含まれますか?

研磨は「除去加工」に分類されます。切削・研削と同じグループですが、研磨は表面をより微細なレベルで整える仕上げ工程という位置づけです。

Q. 金属加工を依頼する際、素材はどう選べばいいですか?

求める強度・耐食性・コスト・加工のしやすさによって適した素材が変わります。判断に迷う場合は、用途と予算をお伝えいただければ、加工方法と合わせてご提案します。