チタンは軽量かつ高強度、耐食性にも優れることから、航空機部品・医療機器・眼鏡フレーム・ゴルフクラブ・時計など幅広い分野で使われる素材です。しかし研磨の現場では「硬くて削りにくい」「熱がこもって焼け色が出やすい」というチタン特有の難しさがあります。本記事では、神奈川県川崎市で1967年から研磨一筋の松本研磨工業が、チタン研磨の目的・工法・焼けや鉄粉混入の注意点まで、現場目線でわかりやすく解説します。
チタンの特性と研磨の難しさ
チタンは比重4.5(鉄の約6割)と軽量ながら、強度・耐食性に優れる素材です。一方、研磨においては他の金属にはない固有の課題があります。
硬く、加工硬化しやすい
チタンは研磨中に表面が硬化する「加工硬化」を起こしやすく、削れにくくなります。ステンレスよりも切削抵抗が大きく、研磨に時間がかかる素材です。
熱伝導率が低く、焼けが出やすい
チタンの熱伝導率は鉄の約1/6と低いため、研磨時に発生した摩擦熱が逃げにくく、表面温度が急上昇します。その結果、酸化皮膜が急速に成長し、黄・紫・青といった干渉色の焼け(テンパーカラー)が現れやすくなります。
鉄粉が付着すると腐食の原因になる
チタン自体の耐食性は高いのですが、鉄・ステンレスの微粒子がチタン表面に付着すると、「もらいサビ」や変色を引き起こします。工程の管理が仕上がりを左右します。
チタン研磨の目的
チタン研磨は目的によって求める仕上げグレードが大きく異なります。主な目的を整理します。
| 目的 | 代表的な用途 |
|---|---|
| 鏡面仕上げ・光沢出し | アクセサリー・時計・スポーツ用品 |
| ヘアライン仕上げ | 眼鏡フレーム・建材・医療機器筐体 |
| 溶接跡・バリの除去 | 航空部品・産業機械部品 |
| 表面均一化(酸化被膜の除去) | 医療機器・精密部品の下地処理 |
チタン研磨の工法
チタンの研磨には複数の工法があり、目的・形状・求める仕上がりによって使い分けます。
バフ研磨
バフを使って磨く工法で、鏡面や高光沢仕上げに最も適しています。チタンは熱がこもりやすいため、熱を管理しながら仕上げます。バフ研磨の詳細はこちらをご覧ください。
ベルト研磨
研磨ベルトを使った工法で、溶接跡の除去・面均しに向いています。鉄粉混入によるもらいサビが起きないよう管理して仕上げます。ベルト研磨の詳細はこちらをご覧ください。
フレキシブル研磨(フレキ研磨)
曲面・複雑形状に沿って研磨できる工法です。眼鏡フレームやゴルフクラブヘッドなど、曲面が多いチタン製品の仕上げに有効です。フレキ研磨の詳細はこちらをご覧ください。
| 工法 | 向いている用途 | チタン特有の注意点 |
|---|---|---|
| バフ研磨 | 鏡面・光沢仕上げ | 熱による焼けに注意 |
| ベルト研磨 | 溶接跡除去・粗取り | 鉄粉混入に注意 |
| フレキ研磨 | 曲面・複雑形状 | 加工熱に注意 |
焼け(テンパーカラー)と鉄粉混入の注意点
チタン研磨特有の2大トラブルである「焼け」と「鉄粉混入(もらいサビ)」は、いずれも工程の管理で防げます。
焼けについて
焼けは、熱伝導率の低いチタンに研磨時の摩擦熱がこもることで起きます。熱がこもらないよう管理しながら仕上げることが大切です。
鉄粉混入について
鉄粉混入は、鉄・ステンレスなど他素材の微粒子がチタン表面に付着することで起きます。他素材の加工粉が付かないよう工程を分けて管理し、研磨後は洗浄して表面の微粒子を除去します。
まとめ
チタン研磨は「加工硬化しやすい」「熱がこもって焼けが出やすい」「鉄粉混入でもらいサビが起きる」という3つの特性を理解した上で、熱と異物の管理を適切に行うことが品質の鍵です。
工法は目的に応じて、バフ研磨(鏡面・光沢)・ベルト研磨(溶接跡・粗取り)・フレキ研磨(曲面・複雑形状)を組み合わせるのが基本です。
「試作品でチタンの仕上がりを確認したい」「1個からチタンの研磨を依頼したい」という場合は、神奈川県川崎市で1967年創業の松本研磨工業にご相談ください。図面がなくても、現物・写真をもとに用途・要求Ra値に合った工程をご提案します。
よくある質問
Q. チタンを研磨すると青や紫に変色するのはなぜですか?
チタンは熱伝導率が低く、研磨時の摩擦熱が逃げにくいため表面に酸化皮膜が急速に成長し、干渉色として黄・紫・青などの焼け色(テンパーカラー)が現れます。熱がこもらないよう管理しながら仕上げることで防げます。
Q. チタンの研磨を依頼するとき、何を伝えればいいですか?
用途(医療機器・航空部品など)と、求める仕上げ(鏡面・ヘアラインなど)やRa値をお伝えください。耐食性が重視される用途では鉄粉混入の管理が特に重要になるため、用途に合った工程をご提案します。