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2026.07.22 加工基礎知識

表面粗さとは?
Ra・Rz・Rmaxの違いと読み方を神奈川県川崎市の職人が解説

執筆:マーケティング担当 松本(株式会社松本研磨工業)

研磨の仕様書や図面に「Ra0.8」「Rz3.2」などの記号が出てきても、何を意味するのかわからない——そういった声をよくいただきます。本記事では、川崎で創業58年の金属研磨工場として現場で培ってきた知識をもとに、表面粗さの基礎であるRa・Rz・Rmaxの定義・違い・読み方、そして研磨工法ごとの達成値の目安をわかりやすく解説します。

表面粗さとは

表面粗さとは、金属などの表面にある微細な凹凸(うねり・傷・加工跡など)を数値化した指標です。肉眼では「なめらか」に見える金属面でも、顕微鏡レベルでは無数の山と谷があり、この凹凸の大きさが表面粗さとして測定されます。

表面粗さは研磨・切削・鋳造・板金など、あらゆる金属加工の品質指標として使われています。特に研磨では、「どれだけ滑らかに仕上げられているか」を客観的に示す数値として、図面・仕様書・検査基準に広く記載されます。

表面粗さの測定には「触針式粗さ計」が一般的に使われます。触針(ダイヤモンド製の針)を表面に当てて走査し、凹凸の変位を電気信号に変換して各種パラメータを算出します。現在はレーザー式・光学式の非接触測定器も普及しています。

Raとは(算術平均粗さ)

Ra(Roughness average)は「算術平均粗さ」とも呼ばれ、現在最も広く使われている表面粗さの指標です。JIS B 0601で定義されており、国際規格(ISO 4287)とも対応しています。

定義:基準長さ内の粗さ曲線の絶対値を平均した値。単位はμm(マイクロメートル)。山の高さと谷の深さをすべて平均化するため、表面全体の粗さ傾向を安定して把握できます。

計算方法:基準長さl内の粗さ曲線 z(x) に対して、Ra = (1/l) × ∫|z(x)|dx で算出されます。

用途:機械部品の摩耗・摩擦特性の管理、研磨品質の検査基準、図面への表面粗さ指定など、幅広い場面で使われています。「Ra0.8以下」「Ra1.6」のような形で図面に記載されます。

Raは「平均」を取るため、表面に特異な深い傷(谷)があっても数値に大きく影響しにくい特徴があります。この点が長所でもあり短所でもあります。特殊な用途では後述のRzやRmaxが補完的に使われます。

Rzとは(最大高さ粗さ)

Rz(最大高さ粗さ)は、基準長さ内で最も高い山頂と最も深い谷底の差(高さ)を示す指標です。JIS B 0601(2001年改正)では、5つの基準長さ区間の最大高さの平均値として定義されています。

定義:基準長さを5区間に分割し、各区間の最大山高さと最大谷深さの和の平均。単位はμm。

RaとRzの違い:Raが表面全体の平均的な粗さを示すのに対し、Rzは「最も大きな凹凸の高さ」に着目した指標です。表面に局所的な深い傷がある場合、Raよりも敏感に変化するため、シール面・摺動面・接触面など、局所的な凹凸が機能に直結する箇所の管理に向いています。

一般的にRz ≒ 4〜7 × Ra という関係が成り立つことが多いとされています(加工法・素材によって異なります)。RaとRzを両方指定することで、より厳密な品質管理が可能です。

Rmaxとは

Rmax(最大高さ)は、基準長さ内で測定した粗さ曲線の最大山高さと最大谷深さの和を示す指標です。JIS旧規格(JIS B 0601:1994以前)で広く使われていましたが、2001年の改正でJIS B 0601はISO規格に統合され、現在のJIS規格ではRz(最大高さ粗さ)がほぼ同等の概念として使われています。

Rz(JIS旧規格)との関係:旧JISのRz(十点平均粗さ)とRmaxは異なる指標でしたが、現行JISではRz(最大高さ粗さ)が設けられ、旧Rmaxに近い概念になりました。旧JISの十点平均粗さ(旧Rz)は現行JISでは「Rzjis」として区別されます。

古い図面や仕様書には「Rmax」の記載が残っていることがあります。取引先・発注元の使用する規格(旧JIS/現行JIS/ISO)を確認した上で解釈することが重要です。わからない場合は、現場担当者や品質管理部門に確認してください。

Ra・Rz・Rmaxの違いと使い分け

指標定義特徴使われる場面
Ra(算術平均粗さ)基準長さ内の凹凸絶対値の平均安定・再現性が高い。最も汎用的研磨品質管理・図面指定・一般機械部品
Rz(最大高さ粗さ)5区間の最大山谷高さの平均局所的な傷に敏感シール面・摺動面・接触面の管理
Rmax(旧JIS)1区間内の最大山高さ+最大谷深さ最悪値を示す。保守的な評価に向く旧図面・旧仕様書の読み解き

現在の主流はRaとRzの組み合わせです。一般的な研磨品質管理ではRaを主指標とし、機能上の要求が厳しい箇所にRzを追加指定することが多くなっています。

研磨工法とRa値の目安

研磨工法によって達成できるRa値の範囲が異なります。下記はあくまで目安であり、素材・工具条件・技術者の習熟度によって変わります。

研磨工法Ra値の目安適した用途
ベルト研磨(#80〜#120)Ra 3.2〜6.3溶接跡除去・粗取り・塗装下地
ベルト研磨(#240〜#320)Ra 0.8〜1.6ヘアライン仕上げ・外装材下地
バフ研磨(荒バフ)Ra 0.4〜1.6光沢仕上げ・装飾部品
バフ研磨(仕上げバフ)Ra 0.1〜0.4鏡面仕上げ・食品機器・医療器具
電解研磨Ra 0.05〜0.2医療器具・半導体・食品プラント
ラッピング・超精密研磨Ra 0.01〜0.1光学部品・精密機械

バフ研磨とRa値鏡面仕上げベルト研磨の各記事もあわせてご覧ください。

まとめ

表面粗さの主な指標であるRa・Rz・Rmaxの違いと使い分けをまとめると以下のとおりです。

研磨の仕様を決める際は、まず「どの指標で管理するか」「どのRa値(またはRz値)が必要か」を明確にすることが重要です。図面に記載の指標が旧JIS規格なのか現行JIS規格なのかも確認してください。

研磨工法の選定や表面粗さの達成値についてご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。詳細は金属加工とはもあわせてご覧ください。

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