ホーム / コラム /食品機械・医療機器の研磨

2026.08.25 加工基礎知識

食品機械・医療機器の研磨とは?
衛生面で求められるRa値と注意点を神奈川県川崎市の職人が解説

執筆:マーケティング担当 松本(株式会社松本研磨工業)

食品機械・医療機器の研磨は、装飾用途の鏡面仕上げとは違う観点が求められます。見た目の美しさよりも、菌や汚れが溜まりにくい表面をどう作るかが優先されるためです。本記事では、神奈川県川崎市で1967年から研磨一筋の松本研磨工業が、食品機械・医療機器の研磨で求められるRa値・素材・注意点を解説します。

食品機械・医療機器で研磨が重要な理由

食品機械・医療機器の接液部(食品や薬液、体液が直接触れる面)は、表面の微細な凹凸に菌や汚れが溜まりやすく、そこから雑菌が繁殖する温床になり得ます。装飾用途の鏡面仕上げが「見た目の光沢」を重視するのに対し、食品・医療用途の研磨は「洗浄性・衛生性」を最優先に考える必要があります。

求められるRa値の目安

用途Ra値の目安備考
一般的な食品機械の接液部Ra 0.4〜0.8μm洗浄性を重視した標準的なレベル
より厳しい衛生基準が求められる部位Ra 0.4μm以下菌の付着・繁殖リスクをさらに抑える
医療機器の体内接触部・精密部品Ra 0.1〜0.4μm用途・規格により個別に指定されることが多い

基本的なRa値の考え方はバフ研磨とは?種類・工程・Ra値の見方でも解説しています。

適した素材

食品機械・医療機器には、耐食性・耐薬品性に優れた素材が選ばれます。

  • SUS316・SUS316L:モリブデンを含み耐食性が高く、食品・医療分野で最も多く使われるステンレス鋼種です。ステンレスのバフ仕上げもあわせてご覧ください。
  • SUS304:汎用性が高く、食品機械の外装や一部の接液部に使われます。
  • チタン:生体適合性に優れ、医療機器(インプラント・器具)で使われることがあります。チタン研磨の詳細はこちら

衛生面での研磨の注意点

  • 凹凸をできるだけ減らす:表面の微細な凹凸に菌や汚れが溜まりやすいため、指定されたRa値を確実に満たすことが重要です。
  • 研磨剤の残留を防ぐ:コンパウンドの成分が表面に残らないよう、仕上げ後の洗浄工程を徹底します。
  • 溶接部の継ぎ目を滑らかにする:溶接跡が残っていると、そこに汚れが溜まりやすくなります。継ぎ目が分からないレベルまで研磨で均一化することが求められます。
  • 角・隅を丸くする:鋭利な角や隅は洗浄しにくく汚れが残りやすいため、可能な範囲でR(丸み)をつけることも衛生設計の一部です。

規格・基準との関係

食品機械・医療機器では、業界団体や納入先が独自の衛生基準・規格を定めていることが多くあります。松本研磨工業では規格の認証機関ではないため、規格適合の判定そのものは行っておりませんが、指定されたRa値・仕上げ条件に合わせた研磨加工には対応しています。求められる基準・数値を発注時にお伝えいただくことで、それに沿った工程をご提案します。

「衛生的な仕上げにしてほしい」というご依頼をいただいた際は、具体的なRa値の指定があるかを確認させていただいています。数値が分からない場合は、用途をお伺いした上で目安をご提案することも可能です。

まとめ

食品機械・医療機器の研磨は、見た目の光沢よりも洗浄性・衛生性を優先する加工です。求められるRa値を満たすこと、研磨剤を残さないこと、溶接部の継ぎ目を滑らかにすることが基本のポイントになります。素材はSUS316を中心に、用途によってチタンなども選ばれます。

「衛生基準を満たす研磨を依頼したい」「Ra値の指定はあるが素材選びから相談したい」という場合は、神奈川県川崎市で1967年創業の松本研磨工業にご相談ください。図面がなくても、現物・写真をもとに用途に合った工程をご提案します。

よくある質問

Q. 食品機械の研磨ではどのくらいのRa値が必要ですか?

接液部はRa0.4〜0.8μm程度が一般的な目安ですが、より厳しい衛生基準が求められる用途ではRa0.4μm以下が指定されることもあります。具体的な基準は設備の用途や納入先の規定によって異なるため、発注時にお伝えいただくのが確実です。

Q. 医療機器の研磨で特に注意することは何ですか?

生体適合性のある素材(ステンレスSUS316L、チタンなど)を用いること、研磨剤の残留がないよう仕上げ後の洗浄を徹底すること、溶接部の継ぎ目を目立たせず滑らかに仕上げることが特に重要です。